利用方法が思い浮かばないなどの理由から、持ち主が空き家を放置してしまうケースは日本で増え続けています。しかし、近年では政府が空き家対策のための法律を施行するなど、空き家を放置し続けることに多くのリスクが生じる時代となってきました。では、いったいどのようなリスクがあるのでしょうか。
日本で増え続けている空き家
日本で空き家が増え続けているのは、データを見ても明らかです。総務省が5年ごとに実施している「住宅・土地統計調査」では、空き家数は以下のような変遷をたどっています。
年度 | 空き家数 |
---|---|
平成5年 | 448万戸 |
平成10年 | 576万戸 |
平成15年 | 659万戸 |
平成20年 | 757万戸 |
平成25年 | 820万戸 |
平成30年 | 849万戸 |
※参考:住宅・土地統計調査(総務省)
データを見ると、20年の間に空き家の数は倍近くになっているのが分かります。増えているのは、単純な空き家数だけではありません。総住宅数に占める割合である「空き家率」も増加し続けており、平成5年には9.8%だった数値が、平成30年は13.6%となっています。
空き家が増えれば、地域に新たな人やビジネスを呼び込むチャンスをつぶすことにつながり、税収が得られない自治体の財政を破綻させる恐れがあります。政府も空き家問題を重く受け止め、平成27年に「空き家対策特別措置法」を制定。空き家対策に本腰を入れ始めています。
空き家を放置することで生まれる2つの大きなリスク
政府や自治体が対策に力を入れ始めたことで、空き家を放置するリスクはこれから先ますます高まっていくと予想できます。具体的には、大きく分けて以下の2つのリスクが考えられるでしょう。
空き家が大きな損失となるリスク
政府が制定した「空き家対策特別措置法」によって、「倒壊の危険性がある」「地域の景観を損なう」「衛生上有害である」と判断された家は、「特定空き家」に認定されるようになりました。特定空き家に認定されると、優遇措置がなくなり固定資産税の金額が最大で4.2倍にまで上昇してしまいます。経済的に大きな損失となるのは確実といえるでしょう。
また、空き家は人が住んでいる住宅に比べ、換気がされないなどの理由から老朽化が早くなるとされています。老朽化すれば、前述したように特定空き家と認定される可能性が高くなるため、高額な費用を支払い修繕しなければいけません。
空き家が原因でトラブルになるリスク
放置している空き家にはさまざまなトラブルが発生する可能性があります。地震や台風といった天災によって空き家が倒壊・破損し他人に損害を与えると、最悪の場合は訴訟を起こされるかもしれません。仮に死傷者を出してしまった場合、多額の損害賠償請求をされるのは間違いないでしょう。
空き家を放置していると不審者に悪用されたり害虫・害獣がすみついたりすることで、近隣住民との間でトラブルが発生する恐れがあります。空き家にトラブルが発生した際、責任を追及されるのは持ち主です。想定外の理由で、突然賠償請求をされるケースもあります。
放置している空き家はどうしたらいい?
放置していると多くのリスクを生む空き家ですが、うまく活用できればさまざまなメリットをもたらしてくれます。近年では「賃貸物件として貸し出す」「オフィスとして利用してもらう」など、さまざまな空き家の活用方法が注目されており、成功すれば多額の家賃収入を得られるのは確実です。
空き家の放置は地域とのトラブルにつながりますが、活用することで地域に貢献していると判断されれば、補助金が支給される可能性があります。ただし、地域によって補助金の有無や額に違いはあるため、詳しくは自治体に確認してみましょう。近年では空き家問題解決のため、補助金を支給する地域は増加傾向にあり、様々な自治体で取り組みが見られます。例えば兵庫県では、空き家活用支援事業として、一戸建ての住宅の空き家や共同住宅の空き住戸を、住宅、事業所又は地域交流拠点として活用するために改修する際の工事費の一部が、種別や対象工事費額によって額は異なりますが、40万~200万円程度の補助が受けられる制度があります。
まとめ
放置することで大きな損失を抱えるリスクのある空き家ですが、活用次第で金の卵を産む鶏に化けるケースもあります。空き家を活用していきたいと考えるのであれば「一般社団法人 阪神空き家再生機構」までお気軽にご相談ください。しっかりとご要望をお聞きしたうえで、最適な活用法をアドバイスいたします。